移植しやすい「すい臓組織」の作成に成功

膵(すい)臓組織の作成、糖尿病治療に期待?

糖尿病の治療につながる、移植しやすい「すい臓」の組織を作り出すことに横浜市立大学の研究グループが成功し、新たな治療法に応用できる可能性があるとしています。

すい臓にある「すいとう」という組織は血糖値の調整をするインスリンを分泌する組織で、糖尿病の治療のために「すいとう」の細胞の塊を移植する治療が行われていますが、血管とつながっていないため十分に定着しないことが課題となっています。

横浜市立大学の谷口英樹教授らの研究グループは、すい臓から取り出した「すいとう」の組織を血管の元となる細胞などと特殊な条件で培養すると血管ができ、血管を伴った「すいとう」の組織に変化させることに成功したということです。

グループは糖尿病のマウスにこの「すいとう」の組織を移植すると、5日後のマウスの生存率が血管がない場合の2倍以上に当たる90%以上になったということです。

谷口教授は「『すいとう(※)』の細胞はiPS細胞から作る研究が進んでいて、今回の技術と組み合わせることで、糖尿病の新たな治療法に応用できる可能性がある」と話しています。

※「すいとう」は下の図に赤丸で示していますが、膵頭部のことですね。

膵臓の働きとは?

膵臓は胃の後ろ側にある、長さ20cmほどの左右に細長い臓器で、膵液(たんぱく質を溶かす)という消化液を作って十二指腸に出す外分泌機能と、ランゲルハンス島と呼ばれる球状の小さな細胞の集まり(1個1個が微小な臓器と考えられ、何とその数20万から200万個程度と言われています!)がインスリン、グルカゴンなど血糖や消化液の量を調節するホルモンを作って血液に出す内分泌機能があります。

膵臓の病気

その膵臓が罹る病気としては

  • 糖尿病
  • すい臓がん(専門的には「浸潤性膵管がん」と言います
  • 膵炎
  • 膵内分泌腫瘍

など、命にかかわる病気が多いです。

合併症の怖さで有名な糖尿病は、身近な成人病としてしばしば話題にも上がりますね。

世界では人口の9%にあたる3億4,700万人、日本でも700万~2000万人(予備軍含む)いると言われています(特にこの40年の間に200倍以上になったということです…)。

また膵臓がんは癌の中でも最も発見しにくいと言われています。

その膵臓の再生治療に希望が持てるようなニュースが出たことは嬉しいですね。

こういった話題は実用に至るまでに結構時間がかかったり、結局使い物にならないということも多いですが、こちらの研究グループが実用化に向けた成果が上がるよう、頑張ってほしいものです。