年々酷くなる日本の暑さ

日本の夏は最近めっきり・・・ものすごく、いやひどく暑くなってきました。
エアコンのかかっている部屋から出たくないほどの気温になってきているのが現状ですが、いつもいつも空調が効いている場所にいられるわけではありません。
暑い屋外から家に帰ってきて、エアコンが効くまでの間、手軽に涼しくするためのものと言えば、扇風機のほかにも”団扇(うちわ)”や”扇子(せんす)”が思い浮かびます。

特に扇子はファッションの意味合いもあるので、屋外でも使用されることが多いですね。

今回は、そんな団扇と扇子について歴史や使われ方などをご紹介したいと思います。

団扇と扇子

とても似ていて異なる団扇と扇子ですが、それぞれどんな特徴があるでしょうか?

団扇

団扇とは、一般的には扇部と手でそれを支持するための柄を備えるものを言います。
ただ、最近は柄がなく扇状または円形の厚紙の端に近い部分をくりぬき、指を入れて用いる穴開きうちわもあります。絵柄や文様にも様々な種類があり、広告を入れた簡易なものはペーパーファンともいい販促品として用いられています。

古来、うちわは木製品、鳥毛や獣毛、蒲葵(びろう)や芭蕉の葉にはじまり、もっと大型で、「扇ぐ」ためより「掃う」「かざす」ためのもので、威儀、儀式、縁起、祈願、軍配、行司、信仰、占いなどにつかわれていました。その後、形態や材質が時代によって変化してゆき、室町時代末、軽くて扇部がへたらない構造として、竹骨と紙を素材として現在のかたちの原型が出来上がりました。江戸時代には一般大衆に普及し、町民文化が花開くとともに涼(りょう)や炊事、装いや流行、蛍や虫追いなど、さまざまな場面で利用されるようになり、現在に至ります。

団扇(浮世絵)

明治時代には、美しい図柄の団扇が外国人に高い評価を得て、外国に輸出されていました。また、商家の配布用としての需要も急増し、裏面に会社名を入れ、表面には商品や様々なメッセージが織り込まれた広告媒体としての意義を備えていました。印刷業界では企業・団体が販促、宣伝などを目的に配布される夏の団扇と冬のカレンダーは重要な季節商品でした。昭和40年代以降、扇風機やクーラー、ガスや電気のコンロの普及など、生活環境の変化により実用面は縮小するものの、夏場を中心に涼をとる生活の道具、花火大会など日本の風情を楽しむおしゃれの小道具、炊事の道具、広告の媒体としての利用は今も盛んです。

また、若い女性が浴衣を着て団扇を持つ仕草は、夏の風物詩として文学作品でも描かれることが多いので、見たことがあるのではないでしょうか?

団扇

扇子とは

扇子(花魁)

数本から数十本の細長い竹や木で出来た骨を束ねて端の一点(要=かなめ)で固定し、使わないときは折りたたみ、使用時に展開します。骨にはたいてい紙が貼られており、展開すると紙を貼られた部分が雁木形の扇面となる。折り畳むことでコンパクトに納めることができます。開閉の方法は、骨を右手親指でずらすように押すことで開くいたり、扇子そのものを振ることで開く方法もあります。折りたたんだ際の形状が持ち運びに優れており、また仕草が優雅であることから、夏場の外出時に愛用する人が多いです。

扇子の主な使い道

風を送る

扇子で最もオーソドックスな目的です。扇ぐことによって風を送り、涼しさを得ます。

口元を隠す

礼儀上、会話の時に口の中を見せることが下品とされることがあり、その際に口元を隠すことに使います。

贈り物

古くは平安時代から贈答に供されていました。また現代でも、使用する時の扇子の形状が「末広がり」に通じて縁起のよいものとされ、祝い事などの席で引出物としても用いられることが多いです。

芸能・芸道の小道具

能狂言・歌舞伎・落語・蹴鞠・茶道といった伝統芸能の中で、小道具やアクセサリとして使用されます。

扇子